プロローグ

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 先ほど、赤血球や白血球、血小板…などをナノマシーンの一種と表現しました。  同様に、今でも希に私たちを苦しめる、忌々しきあの「インフレンザ-」という病は、「ウィルス」という病原体により引き起こされるのはご存知のとおりですが、その「ウィルス」も、その働きや構造等を調べてみると…ある種のナノマシーンであると言えるものであることが分かります。  古典的な遺伝子治療では、このような「ウィルス」のナノマシーンとしての性質を利用して、我々の細胞の「設計図」…ともいわれる遺伝子の情報を書き換えることで、様々な体の不具合を根本から望ましい方向へ変えよう…というアプローチをしていました。  「不老」の話に立ち戻れば、21世紀初頭の研究で「長寿遺伝子」というものが大きな話題となり、これを増やそう…というような啓発が頻繁にアナウンスされました。  その時の「長寿遺伝子」は、食生活の工夫や腸の働きの活性化などで増加させることが可能であるとの研究結果から、民間療法できな取組も盛んに行われました。  ですが、後天的に遺伝子に手を加えることが許されるのなら…  生まれつき、ナノマシーンにより好ましい細胞状態が維持されるようになったら、どれほど「不老」に近づくことができるでしょう?…夢のような話に聞こえるかもしれませんが、これは実現可能な医療行為です。  このようなナノマシーンにより書きこまれた遺伝情報からつくりだされる、第二世代のナノマシーンを、私は「不老因子」と名付けました。 ・・・
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