プロローグ

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 遺伝子を改変するウィルス的なナノマシーンによる「遺伝子治療」行為が必要ですが、その改変された遺伝子は子孫にも受け継がれます。この遺伝子を持つ者は…生まれながらにして遺伝子治療後の親と同じ「不老因子」を体内に保有することになります。  この「不老因子」は、遺伝子に組み込まれた設計図に基づき、体内のタンパク質を合成して生み出されます。これは、元来、我々人類の遺伝子に記述された設計図に従って生み出されている赤血球や白血球、血小板と同様に、体内で絶え間なく生成され、新陳代謝を繰り返します。  さて。この遺伝子治療をほどこされた………私を………人類として認めていただけますか?…いえ。第2世代です。遺伝子治療行為を直接受けたのは私の父母です。ですが、私にも父母と同じ「不老因子」が、体中の血液やリンパ液などの体液中に流れています。  はい。はい。突然のカミングアウトに、アナタたちが驚くのも無理はありません。  あぁ。中には、あからさまな疑いの目を向けて下さる方もみえますね。  信じる方は、そのまま信じて下さい。  疑う方は、まぁ、無理に信じろとは言いません。  仮に私の言うことが本当でも、別にアナタたちとちっとも変わらない…ちょっとだけ寿命の長いだけの人間にすぎませんから。気にする必要もありませんしね。 ・・・
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