プロローグ

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 ということで、今日の講義では「人類の進化について」をテーマとして、それをナノテクノロジーの応用による視点から考えてみました。  そろそろ、時間が無くなってきました。今日は「概論」ということで、あまり深く突っ込んだ話はできませんでしたが………最後に一つ。  ナノテク遺伝子について、アナタたちが「倫理的」な嫌悪感を抱かないでいただけるのであれば、人類は、この23世紀に、今までの歴史上で最大の進化を迎える可能性があります。残念ながら「不老因子」は、名前の効果を発揮できませんでしたが、「不老因子」とそれを生み出すための遺伝子のカスタマイズを許容できるのであれば、「超能力因子」又は「魔法因子」…と呼べるような因子を保有することが可能となります。  まだ理論の段階で、クリアーしなければならない技術的な問題は山積していますが、技術的には可能だと私は考えています。もちろん、体の中を流れる血液に自由に意志を伝達する…などという経験を我々人類はしたことがありませんから、その因子を保有できたからといって、自由に奇跡を起こせるようになるのは容易ではありませんが。  あ。もう一つ。人類が「不老不死」となれなかった理由を言い忘れていました。  それは…「精神」の「死」と「衰弱」です。  どれだけ肉体的な問題を解決しても、人間の精神は思いの外、脆いということが分かってきました。長期間の「孤独」に精神は耐えられません。そして、長期間の「閉塞感」にも…耐えられる者はほとんどいません。詳しくは言えませんが…実験の結果、ほぼ全員が発狂寸前にまで追い込まれました。 ・・・
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