前書き

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葵? 葵だと? 光輝は出てきた文字を認識するのにかなりの時間を要した。 そして、理解した。 葵が明日死ぬ。 嘘だろ?あいつが、明日の犠牲者? そんな馬鹿な。 いや、ありえない。 同姓同名なだけだ。 絶対にそうだ。 日本は別に狭くはない。 17歳の葵海斗ぐらい二、三人いるはずだ。 だが… この胸につっかえる感じはなんだ? この不安はなんだ? まさか、本当に死ぬのか? 回避は出来ないのか? いや、させてみせる。 しなくちゃいけないんだ。 ひどく独善的で自己中心的だ。 そんなのは分かっている、だが目の前で友達に死なれるなんてそんなのは絶対にいやだ。 助けてみせる、なんとしてでも。 そんな色々な事を考えてるうちにいつの間にか放送は終わろうとしていた。 『以上明日の犠牲者でした。 NNN臨時放送を終わります、おやすみなさい』 そして画面は、いつものカラーバーに戻った。
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