前書き

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結論から言うと、葵は死んだ。 事故死だった。 帰宅途中飲酒運転者の車が歩道に突撃してきたらしい。 即死だったらしい。 光輝は後悔した。 あの時、二人で帰っていればと。 もし二人で帰っていれば、阻止できていたのかもと。 後悔して、自分を恨んだ。 こんな馬鹿な、馬鹿な選択で葵を死なせてしまった。 なにが助けるだ、なにが死なせないだ。 俺の言葉一つで死んじゃったじゃないか。 運命というのがあるならそれは残酷だ。 ひどすぎる、なんでこんなこと。 ─────────── その夜、光輝は待っていた。 あの放送を、NNN臨時放送を。 あのふざけた放送を待っていた。 そろそろか。 『それではみなさんごきげんよう!!』 いつもの言葉で締めくくられる最後の番組。 光輝はなにを考えていたのか、まったくわからない。 ただぼうっと惚けながら放送を待っていた。
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