ドミノ地獄

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 世界平和が現実となり、数年が過ぎた頃から、平和すぎる社会が問題とされるようになった。平和ボケというのだろうか、人々は危険に対抗する能力が大きく欠如してしまった。その危険に対する欠如を補う為に発案されたのが、ドミノ並べであった。  ドミノを並べるというのは互いが協力し合うという連帯感を得られる。それと、同時に協調性に欠如し、社会に問題を起こしかねない人間を識別するのにも一役買った。  ドミノを倒した人間は、危険人物と断定され刑務所に投獄されるか、殺されるかの二つに一つしかなかった。 「島根は悪い奴じゃなかったんだけどなぁ」  私はつくづく、イカレた光景だと思う。こんな残酷な識別方法を誰が考えついたのだろうか。  そんな私の疑念をよそに、機械が倒れたドミノを回収していき、私の手元には新しいドミノが届けられるのであった。
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