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そこからメアリーが腕に着けていたものと同じ腕輪を取り出す。
「あれ?
俺のは?」
メアリーが差し出した腕輪は一つしかなく、疑問に思った信夫が尋ねる。
「そんなのあるわけないですわ」
当然と言った表情でメアリーがそう言うと、
「えっなんで?」
意外そうに信夫が問う。
「当然ですわ。
貴方この魔導具がどれ程高価なものか分かっているんですの?
そんなに簡単に手に入るものじゃないんですのよ?
それにこれは勇者団から支給されたものですわ、貴方の分は最初からありませんわ」
「なるほど、そう言う事か。
っていうかそれだったら文の分はないのか?」
魔導具が勇者団の支給品だとしたら当然その一員である文にもそれがある筈だ。
「そんなの知りませんわ」
「お前なぁ・・・」
信夫が呆れ気味にそう言うと、メアリーは心外そうに言葉を紡ぐ。
「大体私は勇者団から派遣されて来た訳ではないんですのよ?
私はただお姉様に今の私達の世界の様子の報告と、この魔導具を 渡すために来たんですの。
あんなやつの分なんてあったとしても持って来ませんわよ」
「本当にいい加減にしないと風穴空けますよ?」
文が額に青筋を浮かべながらにこやかに拳銃を構える。
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