プロローグ

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―異世界:寂れた教会― へし折られた巨大な十字架の前に巨大な魔法陣が展開し、方々から飛来する黒い物体を次々飲み込んでいく。 更にその前に一人の黒いスーツに身を包んだ男が座り込み、携帯ゲーム機を弄っている。 「まったく、情けねぇ~なぁ~サンスクリット。 まさか《器》に送り返させられるなんてな」 その男の前に青髪で天然パーマ、胸元までボタンを開けたワイシャツにネクタイをだしらしなく結び、ズボンを腰穿きした男が歩み寄る。 「なんですか? ベルフェゴールさん。 私をからかいに来たんですか?」 サンスクリットと呼ばれたその男は、携帯ゲーム機の液晶画面から目を離さずに無機質な声で言う。 「まぁまぁ、そう怒るな。 しかし俺ら魔物は丈夫だよな。 腕と足ぶった切られても数日で治っちまうもんな」 「やっぱりからかってますよね? これでいいんですよ。 前もいいましたが、あれはあくまでおまけです。 それで《器》は魔王様の力を掌握し、“次元魔法”まで習得したんです。 おまけにしては上出来過ぎる結果が出ました」 やはり無機質な声音でサンスクリットが返す。 「悪い悪い、で~その“次元魔法”って何だ?」
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