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ベルフェゴールがよく見ると、サンスクリットの持つそれは、いつも持っている長細い陸上のトラックに似た形状のものではなく、二つ折の四角い形状のものだった。
「またあれか?
そのぉ~ギャルなんとかっつ~やつか?」
「いえ、MH4です」
「なんじゃそりゃ」
そんな下らない会話をしている間にも魔法陣に飛来していく黒い物体の数は減っていき、最後のひとつだと思われるそれが魔法陣に飲み込まれる。
魔法陣が一際輝き、鎖の契れる様な音がその中から何度も聞こえる。
そして一人の男が魔法陣から徐々に浮上し、最終的には地上から1メートル程の位置で停滞する。
サンスクリットは直ぐにそれに気付くと、急いで携帯ゲーム機をスーツの胸ポケットにしまい、立ち上がってその男の方に向き直る。
「久しぶりだな・・・
十年ぶりか?
サンスクリット、ベルフェゴール」
「お久しぶりです。
魔王様」
「よお、久しぶり」
まるでホテルマンの様に丁寧なお辞儀をするサンスクリットに対し、ベルフェゴールはまるで馴染みのある旧友と会うように片方のてをポケットに突っ込み、もう一方の手を怠そうに持ち上げる。
「まったく・・・
相変わらず無愛想なやつだな」
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