0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
私は空を見上げた。
空は表情こそ変わるけど、いつもそこに確かにいる。
そのことが私を支えていた。
学校でどれほど辛いことがあっても、空を見上げれば私は耐えられる。
「どうしてこんなこともできないんだろ」
「あの子が話聞いてても、どうせ話す友達いないでしょ」
「あの子と組まされる子がかわいそう」
大丈夫。私は別にいじめられているわけじゃない。
彼女だって悪気があるわけじゃない。ただ、思ったことを言ってしまうだけ。そして私が勝手に傷ついているだけ。私が傷つくってことを彼女は知らずにいるだけ。
私が負けないように強くなればいい。
夕焼けなんて、久しぶりに見る気がする。最近日が暮れるまで学校にいることが多かったから。
教室が夕日に染まる瞬間はとても綺麗だし、それはそれで好きなんだけど、やっぱり私は空を見上げる方が好きだなぁ。
苦しくなんて、辛くなんかない。
私はとっても恵まれてる。
家族円満だし、彼女はああいったけど、友達もいる。
好きなことに没頭できる環境もそろってる。
私は幸せだから大丈夫。
私は強い。
日が沈んでいく。
夕焼け空は、夜の闇色と夕日のピンク色が混じり合った独特の雰囲気が好き。
背景は深い藍色なのに、雲だけがオレンジがかったピンク色で。赤い夕日から濃い闇色へグラデーション。
夕焼けにはなにか、人をひきつけるものがあるんだろうな。
夕日はあっという間に沈んでしまった。
魔物がでるという黄昏時。
そして夜になり、明日が来る。
最初のコメントを投稿しよう!