25人が本棚に入れています
本棚に追加
“少年”の姿は首から下しか見えず、顔は靄にかかったようで、その少年には思い出せなかった。
ただ、“恋”という名は頭にあるが、後は全て、頭の中からまるで水に流されたように、風に吹き飛ばされたようにしてすっぽりと抜けていた。
その少年は、“少年”のことを覚えてはいなかった。
“少年”が名を呼ぶ、●と。
だがしかし、その少年の耳にはその名さえも聞こえることはなかった。
『●、
お前のラプァンレタは…』
──ラプァン…、レタ、
『──ミストルァルタ
ミストルァルタだ…っ!』
──ミスト、ルァルタ…、
最初のコメントを投稿しよう!