数学術!!

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「ねぇねぇねぇ昨日の宿題見せてくれない?」 「ダメ」 「え~なんでよぉ~」 「忘れてきたお前が悪いんだろ。そろそろ自分で宿題してみたらどうだ」 「そろそろって何よ」 「32回」 「32回……何の数字?」 「わざと宿題を忘れて俺に頼ってきた回数だ」 「32回か~。意外に多いのね」 「お前のためだ。自分でするんだ」 「分かったわよ。今日は自分で宿題する。ただ一つだけお願いしていい?問題の解き方を教えてほしいの。分からないところが沢山あって六時間目の授業に間に合いそうになくて。だから今日はお願い」 「そうか。よし分かった。そういうことなら仕方ないな。昼休憩が終わるまで分からないところを教えてやる」 「ほんと?ありがとう。助かるわ。じゃあ早速だけどここ教えてくれない?」 「ん?……どこだ?」 「ここよぉ~。xを求める式になおさないといけないのだけれど、私にはどうすればいいのか最初から分からないのよ」 「あーその問題かぁ。その問題はな、深く考えたらダメなんだ。見た感じすごく難しそうな問題に思うかもしれないが、それはあくまで先入観に負けているだけで、実際はそんな頭を抱え込むまでもなく、素直で純粋な気持ちをもって挑めば案外苦労することなく答えに到達することが出来るのだよ」 「なるほど。それはつまり私たち生徒を数学教師が試しているのね?そして私たちに教えてくれている。数学は冷静さが命であることを」 「まさにその通りだ。数学というのは冷静でなければならない。それは求める答えを見失っては問題を解くことできず、終わりなき迷宮に迷い込んでしまうからなのだ。これは数学だけで言えることではない。人生においても言えることだ。人生には必ず目標がなければならない。それは数学の問題のように終わりのない地獄の迷宮に迷い込んでしまうとうことで、数学教師はそれを俺たちに教えようとしてくれているのだ」 「わぁ~~~~すごい、すごいよ数学。こんなに数学で感動することになるなんて、産まれていままで考えたこともなかったわ。では教えてください!数学のお答えを、いや人生のお答えを‼」 「当然だ!!お前に人生がどんなものか骨の髄まで分からせてやる。見よ!!ここを。右辺のxの隣に-Yがあるだろ!!この-Yを左辺に移行だ!!」 「わぁぁぁぁぁ‼そっ、そして次は!?次はどうするの!?」 「そして、回答だ‼」
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