「釘」

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青白く光る釘を持った老婆が立っていた 何のだろうか? 光る釘に惹きつけられ 手に入れたい 自分の物にしたい 老婆に話しかけた 何度も声を出そうとしても出ない 日は昇り日が沈み 森の中で老婆と向かい合い 静寂の中 数億の日が繰り返した雨の日 老婆が言った 左手を見てごらん 私の不思議な釘 私と出会った日から 手に入れていたのだ そう言い残し老婆は姿を消した 森を彷徨い 湖で喉を潤そうと 映る姿は数千の皺 大声で歓喜 叫び 永遠を手に入れた
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