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私の父は人殺しだ。東都防衛学院の生徒22人に、可再生ナントカという発明をした科学者、演習場のMP、ケイコム社員だった薄井氏や桑野氏、ワッツホテルのオーナー、その他数えきれない人間が皆父のせいで死んだ。世間一般ではそう認識されている。大衆は常に糾弾すべき悪役を求めるが、あの事件ではその悪役は目まぐるしく移り変わった。偏向的な思想に被れたテロリストと思われていた中学生たちは、実は日本の技術を守るべく、恐るべき傭兵達と戦っていた。その傭兵達も、死ぬか既に国外に出てしまった。事件の隠蔽、情報操作を行っていたのは公安だったが、その指揮官は口封じに自衛官を殺害したアメリカのスパイと争い死んだ。トライデント日本支社は撤退し、見捨てられた元社員達を同情する声さえある。自防隊による生徒射殺も、当初隠蔽があったことはともかく、事件自体は不幸な事故だったという声が今では大半だ。
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