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法が父にどのような裁きを下すかは知らないが、社会的には既に死刑宣告を受けてしまったし、それは私についても同様だ。田之倉の家族として連日メディアに晒され、サラセニアンに暴かれた個人情報は魚拓の如くネット内に未来永劫飾られ続ける。報じられる被害者家族の恨みの声と、自称国士共の殺害予告に怯える生活は、私を高校から追放し、母を病院へ追いやった。今は、父がトライデントに魂を売って得た蓄財を糧に、目も耳も口も閉じて一人家に籠る。犯罪加害者家族に対する行き過ぎたバッシングが報じられるたびに、犯罪者を生み出した家族の責任が引き合いに出され、私もそれに同調してきた。では、私の何が、父を最低の売国奴にしたのだろう?父があの仕事を拒否出来なかったのは、確かに私達家族の生活を守るためで、その点で、私にも責任があることは否定しない。だがそれは、扶養を受ける全ての人間がもつリスクではないのか。  
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