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ナレーター
「その質問に対しフーゴは、こわばった声でそう返答した。しかし実際は、彼はこういっていたのだ」
フーゴ M
「そんなんじゃない。お坊ちゃんなどではない」
ナレーター
「ミスタは眉をあげ、それ以上の追及はせず、代わりに言った」
ミスタ
「なら逆に聞こうか。おまえ、オレに言うことがあるんじゃないのか。知りたいことがあるだろう?いいぜ、答えてやるから質問しろよ。んん?」
フーゴ
「…」
ナレーター
「フーゴは数秒、口を閉ざしていたが、やがて意を決して唇を開いた」
フーゴ
「本当に──死んだのか?」
ナレーター
「その眼には耐え難い苦痛の色があった。それを見て、ミスタは眉をひそめて、シーラEに視線を移し、命じる」
ミスタ
「おいシーラE、耳を塞げ」
シーラE
「はい」
ナレーター
「シーラEは即答し、そして指を両方の耳の穴に突っ込む。それを見、ミスタはフーゴに眼を戻す」
ミスタ
「ブチャラティが死んだことは、お前も知っているようだな」
ナレーター
「それを聞いたフーゴの顔が青ざめる。全身がぶるぶると震え、奥歯がかたかたと鳴る。急に吹雪が吹きすさぶ雪山の中に裸で放り込まれたような顔をしていた」
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