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ミスタ
「そして、ナランチャとアバッキオも死んだ。おまえ、あのときに言っていたよな──何て言ったっけ?覚えているか?」
フーゴ
「──」
フーゴ M
「あんたは現実を見ていない。理想だけでこの世界を生き抜くものはいない。この組織なくして、僕らは生きられない」
ナレーター
「そう言ったことを、フーゴはもちろん覚えている。その直後に、彼は人生を懸けていた人物と決別してしまったのだから。それは軽率な行動だったのか?事態を理解していなかった愚か者は彼の方だったのか?その疑問を、彼はずっと抱えて今まで生きてきた。その答えの一端が今、彼の目の前にいる。そのときに彼と決別した五人の中の一人が、彼の前に再びたっている」
フーゴ
「ミスタ──あれは、本当なのか?」
ナレーター
「震える声で訪ねる。およそ曖昧な問いだったが、ミスタはここでうっすらと微笑した」
ミスタ
「どうやら、おまえにも噂は届いているみたいだな。どういう風に聞いている?」
フーゴ
「それは──」
ナレーター
「フーゴはちら、と横に立っているとシーラEのことを見た。この話を彼女に聞かせたくないから、ミスタは彼女の耳を塞がせたのだ。そう、これから先の話には覚悟が必要になる」
フーゴ
「そう、ぼくはこんな風に聞いている…組織の、これまでは謎だったボスが正体を現した、と。その名は──」
ミスタ
「その名は?」
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