再会は悲鳴と供に

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「ふぅ。」 浅葱は品定めを終えて緊張から解放されたことに安堵した。 砂糖は菓子の善し悪しを決めるのに欠かせない。 そんな重要な仕事をするときはとても緊張する。 しかも最近は和彦か一太郎が仕入れを行っていたため緊張感もさらに増した。 「にゅぎゅー!」 浅葱は緊張感で強張った体を伸びをすることで伸ばす。 店の女将さんと談笑をしていたお空はそれに気がつくと話を終わらせて浅葱に近づく。 浅葱は慌てて少し乱れた着流しを元に戻すとお空に向き直る。 「お疲れ様。良い物はあったかしら?」 お空も浅葱の苦労を知っているため、優しく労をねぎらう。 「ありがとうございます。はい、明日にでも店まで持ってきていただけるようです。あ、では次に行きましょうか?お嬢様も退屈なされたでしょうから。」 浅葱は疲れていた顔を一瞬で消し、にこりと笑う。 対して、お空はいたづらを思いついた子供のように微笑む。 「その前にちょっと息抜きしましょうか?」 「息抜きですか?」 そして、お空は首をひねる浅葱の手を引き歩き出す。 浅葱は不意に手を握られて目を白黒させている。 <初。> 白夜が浅葱にさか聞こえない小さな声でそう言うと浅葱はばっと顔を赤く染めた。 <良い年した若者がなにしてんだかな。ケケッ> 白夜はそれが見えていないにも関わらず、ヤレヤレとそう言うと笑う。 たぶん、浅葱の懐の中でニヤニヤと笑みを浮かべていることだろう。
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