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「総次郎様、そんなに食べて大丈夫なのですか?」
「大丈夫ですよ?お代はある人からちょろまかしてますから。」
いや、お代じゃなくて体の方なんだけど…。
浅葱は曖昧に笑うと、店員に向き直り、「餡蜜一つと蕨餅一つお願いします。」といった。
「浅葱、どちらを食べるの?」
お空が驚いて言う。
「少しずつ分け合えば両方味わえますよ?」
浅葱はニコッと笑うとそう言う。
お空の顔が盛大に赤くなり、隣で総次郎が咽せる。
<浅葱、それは天然野暮って奴じゃねぇか?>
白夜が呆れたように言う。そして、浅葱は初めて自分がどんな恥ずかしいことを言ったのかを悟り、お空に負けないくらい一気に赤くなる。
「浅葱さん、なかなか大胆なこと言いますね。」
さらに総次郎からとどめの一撃が放たれて、浅葱は顔をさらに赤くし、お空に「すみません!」と頭を下げた。
「ベ、別に良いわ…私もどちらも食べたいから、その…分けてくれる?」
<おまえ等は初な恋人か!>
呆れきった白夜が浅葱に突っ込む。
「なんだか恋人みたいですね。」
何度かゲホゲホと咽せていた総次郎もそう言う。
二人、特に浅葱は茹でたタコのように真っ赤になった。
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