再会は悲鳴と供に

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「別に。今回は偶々お前がいただけ。…でも楽しそうね。今のあなた。またお世話になっている家にもあいさつしないとね。」 「来なくて結構です。むしろ来たら殺しますから。覚悟してください。」 「あら?14年前私に無様に負けたのは誰だったかしら?」 「ッチ」 浅葱は昔のことを思い出して舌打ちをした。あの時つけられた傷はまだ右腕に跡を残している。 「せっかくここで巡り合ったのだから面白いものを見せてあげるわ。半刻後にね。楽しみにしてらっしゃい。」 そういうと蘇芳は唐突に消えた。 浅葱を威圧するような気配が消えているため間違いない。 浅葱は全身の力が抜けるのを感じた。 会ってしまった。 もっとも会いたくない人に。 今最も見つかってほしくなかった人に。 あの人はきっとまた何か企んでいる。 またあの時のように…。 浅葱は古木の根下に座り込むと膝を抱える。 どうすればいい? いずれあの人は松屋にやってくる。私はみんなを…お嬢様を守れるのか? 浅葱は頭を抱える。 <そんなに悩まずとも、あなた様はお強いお方ではありませんか?> そんな浅葱に上からふわりと声がかかる。 「本当にそうだろうか?本当にそう思うか?…如月姫。」 <はい。私はあなた様が苦労なさっている姿を毎春拝見しておりましたから。> そういって浅葱の傍らに降り立ったのは、桜色の襲を着た美しい女性。桜色に染まった頬を持ち、同じように薄桃色の目をした彼女は如月姫。植物をつかさどる木花知流姫から桜の精霊の総大将を任ぜられた桜の精霊であり、もとは松屋の横にある大木、如月桜の精霊である。
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