再会は悲鳴と供に

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「如月姫、しかし姉を見ただろ?昔よりましてまがまがしい雰囲気だった。これほど大きな巨木の向こう側にいてもわかるほどだったよ。…私にそんなやつを倒せるわけがない。」 <そうかもしれません。しかし、あなた様には多くの味方がいらっしゃいます。私はもちろん、付喪神や九十九神の皆様。お上の方々もあなた様の味方です。もちろん白夜様も。」 そう言うと如月姫はふわりと笑う。 <今考えても仕方のないこと。今は素敵なお嬢様を楽しませるのが紳士の務めですわ。> 「そう…だね。ただ、最後に言ってた「楽しい事」が気になる。如月姫、桜の精霊たちに注意を呼び掛けてほしい。」 <わかりました。では、後ほど松屋でお会いいたしましょう。ちゃんと楽しんでくださいまし。> そういうと如月姫はふわりと空に消える。 もちろん周りの人間には、見えないし、聞えていない会話だ。 「浅葱!!!」 如月姫が消えると同時くらいのタイミングで、お空が人ごみの中から飛び出してきた。その手には、日本の飴細工。片方は鶴、もう一方は亀だ。 「これを…その、浅葱食べたことないのかなと思って。」 はいというとお空は鶴の方を浅葱に差し出す。 「これを…私に?」 浅葱は戸惑う。先程の姉の言葉が耳をよぎった。 私が受け取ってもいいのか? 「飴は嫌いだったかしら?」 お空が不安げに首をかしげる。白夜がその後ろで怪訝な顔をして浅葱の行動を見ている。 私は…私は!! 「いいえ、お嬢様のお心遣いに感動していただけですよ。」 私は、松屋の手代。 名は浅葱。 何が来ようとも、どんな災いが松屋に降りかかろうとも、絶対に守る。 浅葱はふわりと笑うとお空の手から鶴の飴細工を受け取った。
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