再会は悲鳴と供に

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「はい、私の行きつけの甘味処の方ですよ、あ、呉田くんも今度一緒に行きます?ちょうど明日平助と一緒に行く約束してるんですよー。」 引きずられながらニコニコと言う総二郎。 呉田と呼ばれた青年の眉間にさらにシワが増える。 「先生、明日は非番ではありませんよね?」 「そうでしたか?」 「そうです。下の者にも示しがつきません。いい加減自覚を持って行動してください。だいたい、甘味処で刺客に襲われたらどうするんですか?そうでなくても、町の民衆には良い目で見られていないんですよ?」 (よくわからないけど…苦労してるんだ…この人。) 浅葱はだいぶん状況に慣れたらしく、思考回路が正常に戻る。 <女子侍、そんなに凄いやつなのか?> 「なのかな?先生って言われてるくらいだからなぁ…?」 <感じとしては完全に土蜘蛛と一目連だけどな。> 「確かに。そういえば…土蜘蛛も来るのか?」 <おい、どういう意味だ?> 「え」に濁点がついて、カエルが潰れたような声を出して驚く白夜。 ちなみに、他の壬生浪の侍達は適当にその場にいる野次馬たちの何人かを捕まえて火事の話を聞いている。 もちろん、捕まえられた憐れな野次馬たちは顔を真っ青にして早口に話をして逃げ出そうとしている。 お空に関しては、まだ衝撃から回復していない。 白夜はまだギャーギャーと話せと言い、浅葱はこの場を穏便に離れる算段をしている。 ゴーン… 時を告げる鐘がそんな一同の上を虚しく鳴り響く。 「どけ!京都同心だ!」「目明しだ!先ほど火付けがあったと言うことだが、知るものはおらぬか!」 そして、さらに場を乱す二つの集団が現れた。 (帰りましょう。うん、ここにいても巻き込まれるだけだ。) 浅葱は二つの集団の登場を見、浪士組と険悪な空気が流れ始めたのを感じ、とりあえず目の前の二人の視線がそちらに向けられているのを感じた後、まだ混乱しているお空の手を引いてそっとその場を離れた。 (せっかくお空お嬢様に連れて来ていただいたのに、散々だ。) お空の手を引いて、石段を下りながら浅葱はため息をついた。 その後に、浪士組と同心、目明しの間で有ったいざこざは、語るまでもないだろう。
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