再会は悲鳴と供に

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その後、当初の予定通り三竹屋に着いた浅葱達。 先ほど喧嘩したことは、総二郎騒動(浅葱命名)のせいで、水に流されている。 そして、浅葱は悩んでいた。 (ここは男として、お空お嬢様に何か買って差し上げるべきでしょうか…いや、変なものをあげてしまったら嫌われてしまうかも…でも…いや…。) 色とりどりの簪や櫛、組紐が並ぶ棚に向かって一人悩む浅葱。 お空はその横で楽しそうに色とりどりの品々を見ている。 他にも数人女性が同じように品物を見ている。 そして、浅葱を見て顔を少し赤く染め、隣にお空がいるのを見て少し残念そうな顔をする。 浅葱は悩むのに必死で、それに気がつかない。 <色男はいつの時代も周りに気がつかないか、顔を利用するかだなぁー。> 「白夜、何か言ったかい?」 <うんにゃ、なあんにも。> 「そうか…なぁ、お嬢様に贈るなら何がいいと思う?」 <なんでもいいんじゃないのか?> 「そうだろうか…。」 <本当にお空大好き野郎だな。> また考え込んでしまった浅葱に白夜は呆れたような声を出しす。 「松屋さんの手代さん。」 「わ、三竹屋さん!どうされましたか?あ、わ、私が邪魔ならすぐおいとまを…!」 「いやいや違う違う。もしかして、お嬢さんへの贈り物にお困りではないかと思いましてね。」 浅葱に声を掛けたのは恰幅のいい三竹屋の主人。 大店ではない三竹屋には奉公人はおらず、夫婦と息子、その妻だけが働いている。 「なななななんでわっわかったのですか!?」 わかりやすく動揺する浅葱。 言うまでもないが、白夜がボソッと<うぶ。>と笑った。 「ふふふ、私もこの仕事をして長いですからね。」 怪しく目を光らせる店主。 若干悪役口調であるが、決して悪役ではない。
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