再会は悲鳴と供に

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「手代さんの手持ちなら…こちらはいかがですか?一点ものですし、腕が確かな職人が作ったものです。まあ、似た形の簪が出回っているので安いですよ。」 「綺麗…ですね。」 商売上手の店主らしく、浅葱の手持ちのお銭を聞くと、少し悩んでから奥から小さな赤いガラス玉に、小さな青い蝶が何匹か細い金属の紐で繋がれたそこまで派手ではないものの美しい簪を出してきた。 それを見て、浅葱は思わず感嘆の声を漏らす。 <いいんじゃねぇか?お前が好き、嫌い云々を除いて、ちょっとした恩返し気分でさ。> 浅葱がまた負の思考回路に向こうとしているのを察した白夜はそうなる前に素早く先手を打った。 <いい加減にウジウジすんのやめろよそれをいちいち聞かされる俺の身になれ。> さらに呆れたように言う白夜。 「だけど…。」<お前が!>「え?」 <お前が俺と始めてあった時は確かに蘇芳を探し出して、お前の村をあんなことにした理由を聞き、救い用がなかったらお前が手を下す。…それがお前の生きる目的だった。そうだな?> 「あぁ。そうだ。」 それでも尚負の思考に走ろうとする浅葱に白夜は少し声を張り上げる。 <だけど、今はどうだ?お前は松屋を、お空を守りたい、蘇芳からも、他の色んな最悪から…って考えてる。それは、お前があの頃は持っていなかった居場所を見つけたからじゃないのか?> 「そ、それは…そうだけど…。」 <なら、それを恥ずべきことはないだろ?大体なんだ??ちょっと蘇芳が現れただけでわかりやすく取り乱しやがって??そんなんで何を守る?何を救う?誰に手を下す?とにかく、自分を封じ込めるな??お空への気持ち、蘇芳へ気持ち、全部お前だろ??俺とあった時に言ったあの決意は嘘か?今更揺れてんじゃねぇよ??うっじウジウジしやがって!てめぇは蛆虫か??だいたい、簪一つ買って、渡したところで何が変わる?小さいことにうじうじすんな??> 人型の時なら、浅葱の胸ぐらをつかんで、拳の一つくらわしていたかもしれない白夜の怒りに浅葱は眉をしかめる。
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