如月桜が燃え、総次郎は実はすごい人である。

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<遅かったのだ…。> <浅葱様!> <二人とも、さっきぶりですね。> 浅葱、白夜が中に入ると同時にすでに中にいた人物達がこちらを見て声をかけた。 一人は、神道の神話にでも出て来そうな服を着た青年。彼の周りにはふわふわと幾つかの青い玉が飛び回っている。ちなみに、語尾が「~のだ。」は彼の個性だ。 その横には、瑠璃色地の着物に、まるで蓬莱山に住む仙女のような帯を周りに漂わせている。 大きな目をキラキラさせて、浅葱に今にも飛びつこうとしている。 その横には、昼間浅葱の前に現れた青年、河伯。 彼は今にも飛びつこうとしている少女を取り押さえている。 「道返玉、木花知流姫お久しぶりです。河伯、昼間はどうも。」 <お前ら本当に変わらないな。> 浅葱は少女に困ったように眉を下げ、白夜はやれやれと言わんばかりにため息を着いた。 <そんな簡単に変わったら逆に怖いのだ。> <確かに違いねぇな。> 道返玉の言葉に白夜はカラカラと笑う。 <じゃが、今この街は揺れておる。> 凛とした声が二人の後ろ、神を祀る祭壇から響いた。 「宇迦之御魂神様!」 <宇迦之御魂神、わざわざお越しいただかなくとも、妾が説明いたしましたものを。> 凛とした雰囲気を持つ、豊穣の女神、宇迦之御魂神の登場にそこにいた皆が頭を下げる。 いや、下げようとしなかった白夜に対しては、浅葱が無理やり頭を押さえて下げさせた。 <皇龍様、お元気そうで何よりじゃな。> 浅葱に頭を抑えられている白夜に宇迦之御魂神は苦笑しながら言う。 白夜は浅葱の手を頭から振り除けると宇迦之御魂神に向かって軽くてを上げる。 <よぉ、狐。お前も元気そうじゃねぇか。ッテェ!浅葱なにしやがる!> そして、軽く挨拶をしたものだから浅葱は無言で握った拳を白夜の頭に振り下ろした。 「神様になんてこと言うんだ!この馬鹿!」 <俺の方が年上だ!> 「嘘言うな!」 <嘘なわけあるか!俺が嘘ついたことあるってのかぁ?> 「1日五回くらいの頻度でついてるだろ!」 <あれは嘘じゃねぇ!> 「じゃあ、なんなんだよ?」 <冗談だ。> 「…そうか。」 浅葱は無益な会話に疲れて最後には折れた。 宇迦之御魂神、玉藻、木花知流姫、河伯、道返玉はそれを何時ものやりとりだと言わんばかりに生暖かく見守っていた。
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