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<とにかく!!前から言っているでしょう!!飲ますの禁止!後始末をするのがいつも私とわかってやっているのですよね?私の清流にこんな酔っ払いの気を持ち込みたくない気持ちくらいそろそろ汲んでくれてもいいんじゃないんですか!>
<狐狸も狐狸だ!こんな狐やら狸やら大量に連れてきて!被害増大してんじゃねぇか!>
<白夜なんで今日はそんなご機嫌斜めなんだよ…いつもはなんも言わないくせに…。>
<何と無く、今日は怒りたい気分なんだよ!>
狐狸が正座したままボソっとつぶやく。そのつぶやきを素早く拾った白夜は堂々となんとも自分勝手なことを言う。
たぶん、宇迦之御魂神が言っていた清春の名が気に障ったようだ。
<理不尽だ…。>
狐狸の意見も一理ある。
<とにかく、やらかしたお前らが悪い!!>
<そう言われても、俺は性なんだが…。>
おずおずと手を上げて言う酒呑童子。鬼の頭領と言われる威厳はない。
<二人とも?往生際が悪いですね?いくら性でも他に飲ますのまで性なんて言わないですよね?酒呑?>
河伯がニコニコと言うが、背景は般若の顔だ。
それに睨まれた本来般若であるはずの酒呑童子はまた縮こまる。
まるで尻にしかれた夫とその夫を怒る妻のようだ。
狐狸はその怒りの矛先が自分に向かないように押し黙っている。
<狐狸、貴方も反省してくださいね。>
しかし、そのかい虚しく河伯の怒りはキチンと狐狸にも向いてきた。
「大丈夫ですか?」
そんな妖達を一瞥しながは浅葱はとりあえず最後の被害者に声をかける。
<大丈夫じゃない…せ、せめて…せめて一思いに殺してくれ…。>
彼はどうやら大丈夫ではないようだ。殺すも何も人間ならともかく鬼が酒の飲み過ぎで死ぬなんて聞いたことがないからきっとただ酔っているのだろうと浅葱はそっと彼から離れる。
触らぬ鬼に祟りなしだ。
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