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「あー…マジか…いや、本当勘弁してくれよ…なんでよりにもよって一番高く売れそうなもん取るかぁー。」
河原で箱をガサゴソと漁っていた佐之助はため息を着くとまた箱を漁り始めた。
彼の周りには人形や紙やら箱やら何かわからないドロドロとした塊が散乱している。
もちろん全て佐之助の荷物から出て来たものだ。
<おーい、浅葱ーこっち来いよー。>
「絶対嫌だ。」
浅葱は佐之助からだいぶん距離を置いたところにいる。
箱から人形が出て来た瞬間一瞬顔を青くして脱兎のごとく距離をとったのだ。
<はぁ、なんで普通のやつなら大丈夫なのに、佐之が持ってる奴はダメなんだかなぁ~ケケケ。今度枕元に置いといてやろうかな~。>
「そんなことしたら金輪際何も食べ物やらないからな。」
<じ、じょうだんだよ~…。>
浅葱の本気の目ににやけていた白夜も思わず慌てて否定する。
<佐之助~、で何とられたのよ?>
そんな二人をそっちのけで木花知流姫が聞く。
「ん?あぁ…簪だな。この間祓ってくれって言われたとこだったんだよなぁ~…あーぁこれなら早くあっち側行くんだったよ。」
<憑喪神?>
「いんにゃ、ただの幽霊だよ、幽霊。また皿屋敷みたいなこと起こしたら俺どうしよ…。」
あまり困ってはいないようにため息を着く佐之助。軽いことのようだが、皿屋敷とは有名なお菊さんの事。佐之助が番町の屋敷から引き取ったのをそのままある屋敷に売ってしまい、何人か死人が出た事件。
佐之助はこのことからあっち側…浅葱に言わせると向こう側のいわゆる妖怪と神の世界の岡っ引きに目をつけられている。
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