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少しの沈黙の後
偉ぶり親父が先にまた口を開き出す。
「春樹には良い家柄の娘さんが待っててくれている」
奥様の頬に濡れた筋が増えていく。
「このまま君とここにいても
………構わんよ?
但し、解雇にする。
跡目は弟もおるからな?
ここも勿論出てもらう。
ウチ以外で働いた事の無い奴が
順風満帆にいけると思うか?」
「…………………」
「それでも君は
愛してるから側に居たい等と
寝言を言い続けるのかい?」
奥様は……
もう焦点が定まってない感じでした。
放心状態で
呆然となさってるようでした。
「………金は十分にやる。
君だけが出て行けば
全てが丸く収まるじゃないか」
「…………春人は……」
「春人?……あぁ、この子供か?
置いていけ。
春樹の子なら家の跡目になるかもしれんしな!」
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