第1章

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「失礼します」 特に問題のある社員はなく、滞りなく進む面談の中、彼女は現れた。 私より少し高い背丈。 濃い化粧で原型の分からない顔にギラギラしたピアス、髪は金に近い茶髪を腰あたりまで伸ばしている。 更に白のカッターシャツはボタンをギリギリまで留めておらず、胸の谷間をこれでもかと強調している。 スカートも短すぎて、まるでどこぞの夜の商売女のようだ。 ーー深沢りりあ。22歳。 先程拍手もせず私達を凝視していた彼女は、私が目をつけていた人物でもあった。 「…深沢さんね。ほとんど規律違反よ」 「どこがですか?」 けばけばしい顔とは裏腹の可愛らしい声で、何がいけないのか分からないとでも言いたげな口調で問う彼女。 「化粧、髪、ピアス、シャツ、スカート全て」 「でも部長は何も言いませんよ」 「規律は部長の決める物ではないわ」 「でもここでは部長がトップです」 やたらに部長を強調して駄々をこねる子供のような深沢に、新井さんは次第に口調が強くなる。 「そういう問題じゃないでしょ。この会社の名前を背負う以上は、会社の規定を守ってもらわないと」
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