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「けれど営業というのは厳しい仕事だ。常にノルマに縛られ、仲間同士で競い合う。時に醜い争いをしながらね」
「…それが何か」
「女性はしたたかだ。色んな女性を見てきたが、君のように真っ直ぐで正直者はなかなかいない」
私の冷たい返事を微塵も気にする事なく話を進める上條部長。
仕方がないので出方を待つ事にする。
「ここの社員も、やり方を思考錯誤しながら戦っているんだ。深沢君のあの格好も、それの1つだよ」
だから見逃せと言うのだろうか。まぁ黙認する気はサラサラないが。
「君も、教育係をする前は営業をして業績を上げていただろう?その時は真っ直ぐだけではいられなかったはずだ」
「私は真っ直ぐ仕事をして来ました」
すると、いつの間にか背後に立った上條部長にポン、と肩を叩かれた。
「なら、辛い事や悲しい事がたくさんあったはずだ。それを糧に、今まで頑張って来れたはずだ」
「まぁ多少は」
「辛かったね。君は、本当に頑張って今の位置まで上り詰めたんだね」
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