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「よくも厄介な仕事をこの私に押し付けて人の家で堂々とビールなんぞたしなめますねあんの上條オールバック曲者と一緒にドラム缶に押し込んでコンクリ詰めにして東京湾に沈めて差し上げましょうか顎」
「……おかえり」
リビングのドアを開けた瞬間、私に今回の依頼をしてきた長谷川部長の姿が目に飛び込むなり口が勝手に動いた。
「おかえり桜。随分ご機嫌ナナメだね?」
誠がエプロン姿でにこやかに迎えてくれる事には、心が癒されたが。
我が家は仕事が先に終わった方が料理を作る。そしてその片付けは、作らなかった方、つまり今日の料理係は誠で片付けは私だ。
「ただいま誠。手伝う」
「いいよ。お風呂入っておいで」
優しい旦那様の言葉に甘え、お風呂に向かう私。顎…長谷川部長は眉を下げ、笑いながら掌を顔の前で合わせていた。
それを軽く睨み、後で覚えていろ、と口をパクパクさせると、がっくりと頭を項垂れていた。
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