第2章

3/20
前へ
/254ページ
次へ
「やっぱり癖があったかな?」 お風呂上がりの私に苦笑しながら訪ねる顎は、上下とも赤のジャージ姿だ。 泊まる気マンマンじゃないか。と、心でツッコミを入れつつも、よくある事だと諦める私。 以前、顎に頼まれた青年を指導している時、顎の家に居候をしていた事から始まった私達は、今では家族も同然だ。 「癖というより、裏がありそうです。上條部長は、業績を上げる為にはあまり手段を選ばないように思えます。けれど頭はキレるので、私にそれを見つけるのは厳しいかもしれません」 「そうか…」 整った顔立ちをキリリと引き締める顎は、以前に増して貫禄が備わっている。 営業を長く続ける人間は、なかなかどうして綺麗どころが多いのだろう、と、回りを見て改めて思う。 外見だけではないと言いたいが、結果を見るとやはり関係するな、と少し悲しくなる。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

289人が本棚に入れています
本棚に追加