第1章

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ーー。 「新井久美子です。今日から一ヶ月間、教育係としてお世話をさせていただきます。質問があるならいつでも言ってくださいね」 長いストレートの茶髪を後ろで1つに纏め、後れ毛のかかる整った顔は見惚れそうな程の笑顔だ。 薄いピンクのワンピスーツは、170㎝はあるだろう、その細い体にフィットしており、教育係というより受付嬢のようだ。 「皐月桜と申します。まだ新人教育係故に、新井先輩のサポート、兼勉強をさせて頂くので、ないものと考えてくださって結構です」 対して私は茶髪のショートに赤渕のメガネ。笑みなど浮かべるハズもなく、無表情で前を見据える。 白のカッターシャツに黒いベルトを巻き、黒のパンツスーツを履いている。 150㎝しかない背丈に童顔は、新井さんと並ぶと、年の離れた正反対の性質の姉妹のようだ。 そう。 私と新井さんは、佐々木メタボハゲのこの前の依頼を引き受け、A支社の事務所へ赴いていた。
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