第一章

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「ただいま」 今週末に控えた取引先との商談に向けて、会社の資料をまとめていると一階から彼女の声が聞こえた。 「おかえり」 時計の短針がちょうど9を指しているのを確認して僕は一端資料を机に置き、一階へ降りる。 「遅かったんだね」 僕が玄関に顔出すと、彼女は丁度靴を並べ直しているところだった。 「ごめんなさい、会議が長引いちゃって」 「なに、君が謝ることはないさ」 「すぐにご飯の仕度をするわ。少し待ってて」 「ああ、部屋にいるから出来上がったら呼んでくれるかな?」 「うふふ、いいともー!、とは言わないわよ」 それを合図に、僕は再び部屋に戻った。
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