第一章

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足首を動かさないように、そろそろと上半身を起こすと、怪我の状態を確認する。 手首にはぐるりと痣と乾いた血がこびりつき、擦りむいた手のひらと膝には薄いかさぶたができている。走っていた時にできた引っかき傷もかさぶたができ、小さいものは塞がりかけている。 足首以外の怪我は痛みもなく、問題がないように見えた。 少女は小さく安堵のため息を吐くが、足首は最初よりも腫れ上がり、歩くどころか立ち上がることも難しい。 そのまま何気なく空を見上げると、その目に何やら大きな鳥が飛んでいるのが映る。 (なんておっきなトリさんだろう…。あんなにおっきいの、はじめて見た。) お父さん達なら知ってるだろうか。そう考えて、少女はもう家に帰れないことを思い出す。 じわりと涙が溢れた時、茂みがガサッと音を立てた。
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