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「近所の男の子にはキャンディをあげてたしね」
「そうそう、中学生の時まで毎日お花に『大きくなぁれ』って言いながら水をあげてたねぇ」
「しかも、「分かった、分かったから、止めろ!」」
顔を真っ赤にして必死に止める慧を見て、3人は思わず噴き出した。
「なっ!」
慧は噴き出したことに怒りの言葉を言おうとしたが 3人の顔を見た瞬間、何も言えなくなってしまった。
3人は、懐かしそうで優しい、それでいて何処か悲しそうな、そんな表情をしていた。
「慧、ごめんね」
「俺達の所為で…」
「慧がいなくなってから毎日3人で慧の様子を見てたんだ」
…だから、俺の恥ずかしいエピソードを知ってたのか。
「別に、お前等の所為じゃないだろ。」
「でも、」
「あー、もういいだろ。誰が悪くたって、少なくとも俺は気にしてねぇよ」
慧の言葉はぶっきらぼうだったが、その中に温かさを感じるものだった。
その優しさは3人にも伝わった。
いつの間にか、慧の心の中にあった疑いは消えていた。
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