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慧は自分の6歳より前の記憶がほとんどない。
彼の記憶は
6歳の頃、街中で人々が心配そうに見ている中、目を覚ます所から始まっている。
しかし、なぜ街中で眠っていたのか、自分の親が誰なのか、何処で生まれ育ったか、そんな大事なことがどうしても思い出せない。
それに、それ以前の事を思い出そうとすると、まるで何かを警告しているかのように頭が痛み出した。
いつしか慧は自分の過去について考えないようになった。
ーどうでもいい。どうせ思い出したってなんにも変わりゃしない…
彼にとって自分の生い立ちさえもどうでもいいことの1つにすぎなくなってしまったのだ。
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