第一章

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ー十二時間前ー ー午後十九時ー 「保奈美、ごめんね、お母さんとお父さん、今日も忙しくて家に居れないの。ごめんね、保奈美。」 「んーん、良いの、大丈夫。頑張ってね。いってらっしゃい。」 「行ってきます」 静かにドアがしまった。 いつも通り、両親を玄関で見送りをした。 「はぁ…。」 大丈夫なんて嘘。本音を言うと少し苛々してる。 今日は六月十六日。 木崎保奈美(きさきほなみ)は今日十五歳になる世間で云うお誕生日。 おめでたい日に苛々してる理由は一つ。 親は今日もいない。 私の親は両方仕事が忙しくて私なんかを構ってる余裕などない。 …でもさぁ、せめて誕生日くらいはいて欲しかった。
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