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空は青く澄んでいた 教室の隅の席で窓から覗く空を見ながら ざわざわとした生徒の声を聞く いつもと同じ いつもとどこも変わらない ただ平凡な1日が過ぎていく――。 「野和っ」 朝のホームルーム 後ろから背中をつつかれ、振り返るとニコニコしながら私を見つめる杏がいた。 高校に入って3年を迎えるが この子とはずっとクラスを離れたことは一度もなかった 「今年も一年間よろしくね」 「よろしくっ」 杏との新しい一年の始まりの挨拶をして やっと今日から3年生なんだな、と実感する この見慣れた校舎も 見慣れた制服も あと一年間 ちょっぴり寂しい気分に浸りながらまた外の世界に視線を移した
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