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その日は、急に訪れた。
その日のレムは、朝から皆が浮足立っていた。
その理由は、俺にも直ぐに理解できた。
いつも、どこかしこに感じる、補食者の気配が感じられなかったのだ。
敵が居ない。それは喜ばしい事では無い。こんな日は、決まって奴らが現れるのだから。
───来た。
独特な脂の匂い。このウユキチでも異質な、生き物達とは異なる匂い。
いや、奴らも生きている。この匂いは生き物には違いないのだろう。
しかし、奴らは異形の者。
ウユキチには様々な生き物が存在するが、奴らほどの変わった生き物は居ない。
後ろ脚だけで歩くのだ。
しかも前脚で、器用に様々な物体を取り扱う。
俺達の敵。牙を持つ者たちさえも、奴らを恐れて近付かない。
風下に居るのだろう。気配は感じるが、位置を上手く感じ取る事が出来ない。
奴らは頭が良い。
必ず風下からレムを追い立てる。褐色の悪魔だ。
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