序章

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そこまで歩こうってことになり、 組まれた腕を解き 俺から手を繋ぎ変えた・・・ 彼女の手は 小さく酔っている割には 冷たかった。。。 公園の展望台に着くと 彼女は息を呑んだ。。。 『すご~~~い・・・ こんなとこ初めて来たよ・・ こんな所連れて来られたら 女の子はいちころかな・・・ 何人も連れてきたんでしょ? あきらさん・・・』 『あははっ・・・じつは・・・ 早苗ちゃんが初めてなんだ。 そこの店には何人か 連れてきたことはあるけど・・・』 『正直なんですね・・・ あきらさんって・・・(笑)』 『よく言われる・・・ 良くも悪くも・・・(笑)』 早苗が俺を見つめている。 何も言わずただ見つめている。 俺は、無性にキスしたかった。 彼女を見つめる視線を 上にそらし 『しかし・・・、 ほんと綺麗だよね・・・』 多分あのまま抱きしめ キスしたとしても拒まれは しなかったのだろうけど・・・ 真っ直ぐ過ぎるくらいの 目を見てたら、それが 出来なかった。。。 色んな恋をしてきた割には、 初心な恋心がおれを、 くすぐり始めたんだろうな・・・ 早苗と出会ってこれまでの 恋を捨てても良いと思った。 早苗の握っていた手が 近づき寄り添うように 俺の右腕に寄りかかってきた。 『私じゃ駄目ですか?』 つぶやくように早苗が言った。 俺の胸の奥に響いた。 そっと早苗の肩を抱いた。
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