序章

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(初めてのデート・・・ 俺が携帯見なければもっと 楽しく過ごせたのかな? それでも貴女は、笑みを絶やさず 俺に接してくれたね。。。 この小さな身体で誰よりも 強く生きてきたんだね。) 車は止まったまましばらく二人とも黙ったままだった。 最初に口を開いたのは、早苗だった。 『あきらさん、嫌になったでしょ・・・』 『何が?』 『友達もいない・・・ 両親もいない・・・ きもいですよね・・・』 『いや、そんなことは無いよ・・・ ただ、ちょっとびっくりしたかな・・・ だってこんなに明るくて 可愛い子がって・・・』 早苗はくっすっと手で口を押さえながら 『あきらさんってこんなときでも、優しいんですね。』 俺は、てっきり笑っていたものだと・・・ ふと助手席に眼をやると窓の外を見る早苗の頬を伝う涙が光っていた。 俺は車を出した。 窓から入る風で乾かしてあげたかったのかも知れない。 海辺の近くに車を止め 俺は車を降りて 助手席に回り、早苗の手をとり 走り出した。 早苗は、えっ!って顔をしていたが俺はおかまい無しに、海に向かっていった。 砂浜に着くと 『ここに・・・この砂浜で全部全部忘れて帰ろう・・ 今のままでも、俺は早苗が好きだ。 でも、それが負い目に感じるなら ここに全部おいて帰ろう。
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