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ちゃっちゃーらーちゃらーちゃー♪
部屋に響く軽快な音楽で俺、一 祐希は目を醒ました。
ちなみに、一はニノマエと読む。
変な名字だと思ったやつ、手をあげろ。
同感だ。
1。
2の前だから、ニノマエ。当て字にもほどがある。
あんまり名前を読み間違えられるもんだから、何だか自分でも自分の名前が「ハジメ ユウキ」なんじゃないかって気がしてくる。重症だ。
いや、まあ嘘だが。
それにしても、なんだか変な夢を見ていたような気がする。
どんな夢だったか思い出そうとしたが、なんだか黒くて白かったことしか思い出せない。
…まあ、いいか。
少しモヤモヤするけど、大したことじゃねーだろ。
所詮夢だし。
考えるのを放棄して、ベッドから降りる。
と、解除し忘れた携帯のアラームが、スヌーズ機能により再び歌いだした。
ちゃっちゃーらーちゃらーちゃー♪
ああ、止めないと。
携帯に手を伸ばす。
手にとって目をやると、水色のライトがリズムに会わせてピカピカと点滅していた。
その灯りに、何故か心臓がドクリと鳴った。
ハッとする。
違う。
何かが。
おかしい。
こんなのは間違っている。
そうだ、おかしいのだ。
そんな筈はない。
今にも導き出されようとする最悪の状況を脳が必死で拒否した。
何故だ。
なぜこんなことになっている。
戦慄とともに、怒りと焦燥が沸き上がった。
俺はハンガーに吊るされた制服を光の早さで着込み、駆け出す。
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