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その日は鬱陶しいほどの雨だった。 パトカーのサイレンが脳内を反響する。ぐっちょりと濡れた体に張り付く髪と服が気持ち悪かった。 ぽたぽたと 雨の雫が頬を、髪を、腕を伝って落ちる。 今広がるこの光景はなんだろうか。 群がる人達、赤い光、雨、雨、雨… 血? 音がない。何も聞こえない。 無音の中で響いた自分の声が、まるで他人の声のように、聞こえた。 「…千秋ぃーーーーーー!!!」
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