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その周りをまるで砂糖に集る蟻のように特殊スーツに身を包んだ連邦兵が取り囲み、一様に銃を向けた。
「ターゲットの射殺を確認。協力者カイル=メルレインがターゲットの銃弾に倒れたもよ……」
そこまで言いかけて部隊長らしき男は口をつぐんだ。
既に日が変わり、
西暦2430年12月25日
雷雨が舞うクリスマスのこの日。
静かに1人の魔神が誕生した。
「俺は」
それは金髪の……
「どうして」
碧でなく黒の瞳の魔神が……。
「リア?……リア?嘘だろ?おい!起きろよ?誰だよ?お前らがやったのか?おぃ?なんとか言えよ?なぁ、リア?頼むから……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
死を超越した金髪黒眼の魔神。
彼の咆哮が鳴り止んだ時、邸宅には無数の連邦兵の死体と魔神の産みの親、リアノークの遺体だけが残された。
『ザッザザッ……アル……せよ……アルファ……た?応答せよ……アルファ1どう……た?……応答せよ……ザザッ……ザーーー…』
無線から聞こえる呼び掛けもその声は次第に止み、再び邸宅の大広間は静寂に包まれる。人為的に割られた窓からは地平線から昇る陽の光が儚くげに差し込んでいた。
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