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「あぁ、神だ!生まれし時から人は神になる夢を見る。そして力を欲し、願い、求める!お前もそうだろう?」
リアノークはゆっくりと言葉をつむぐと目の前のカイルを憐れみにも似た表情で見つめる。思わず視線を反らしたカイルは何かを決意したかのようにその手に持つ銃の引き金に強く指をかける。
「違う!俺は違う!そうは思わない!人は人でしかあり得ない」
その時、何かが弾けたように乾いた銃声がこだまする。
だが、その刹那カイルは見た。彼の発砲を合図に地を蹴り、自分との間合いを一気に詰めようと走り出したリアノークの姿を。その右手にはナイフが握られている。
カイルは走るリアノークに再び照準を合わせた。
パンッ……。
そしてもう一度、乾いた銃声が鳴り響く。
「な、なぜ…リア……」
一瞬にして思考する事を諦め、その機能を失っていく頭。
かろうじて動く細胞が繋ぎ止め、ロードショーのように流れていく記憶。
意識をしても全く言うことをきかなくなった両足。
バランスを失い次第に傾いていく身体。
銃声をその耳に聞いた時、カイルは地に崩れ落ちた。
リアノークが地を蹴りナイフを握ったのはフェイク。
彼が逆手で隠し持っていた銃の引き金を引いたのだ。そこから放たれた弾丸がちょうどセンターで分けられたカイルの金髪の前髪に囲まれている額を確かに撃ち抜いていた。
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