幼少期

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偽りのルート1 帰り道、寂しいから家までついて来て欲しいと真希が言うので 私は真希に従った。 優梨が居なくなって久々の 一緒の下校だったし、真希は 一緒に帰ろーという子達に 「私は、今日奈都と帰りたいの! 話したい事あるし・・・またね!」 と断っていたのだ。 私は、心の中で皆一緒に帰ればいいのに・・・と思っていたが 口には出さなかった。 話したい事があると言っていたので 何かあったのか知りたかったし 自分から離れた人間がまた 自分から話しかけてくるのだから 何か困りごとがあるのかと思ったからだ。 でも下校途中は彼女は 何も言わなかったし、前と変わらなかった。 真希「じゃあ、私家ここだから」 真希は家の門の前で立ち止まったので 私はまた明日ねーと言いながら、 来た道を戻ろうとした。 それは、情けない事に戻らないと 帰り道が分からなかったからだ。 真希「何処行くの?」 私は苦笑い、困った表情で こう答えた。 奈都「え...と、帰り道が分からなくて・・・」 真希は暫く考えた後、こう答えた。 「この道を真っ直ぐ行けば十字路があってそこをちょっと歩いて右に歩けば 前に遊んだ事があった公園にいけるよー」 この時私は嬉しかったし、 話したい事は明日聞けば良いかなと 安易に考えており、 最低な事に、家の門限と 帰り道の事しか考える余裕が 無かったのだ。 何せ、帰らなければ母に体罰が 下される事も、父の気分次第であったから。 幼い私にはそれがストレスの原因にも なっていた。 奈都「ありがとう!!!!また明日ねー」 それが罠だとも知らずに。
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