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 私はこの間作成した書類にもう一度目を通す。 ・案件  6月21日(木)。  露理さんが神の顕現を感知。すぐに調べるも異変が見つからず、調査は空振り。  6月25日(月)。  露理さんが神社の前を通学する生徒が少なくなっていることに気がつく。調べた結果、四人の生徒が存在ごとに消えているのが発覚。  6月26日(火)。  私こと斎藤由香が調査するも、手がかりどころか、四人の存在を覚えている人間がいない。もとからいない人間のような扱いになっている。  ざっと書類に目を通し、私は露理さんの方をみた。 「今回の仕事の肝要は、いなくなった四人の生徒を探し出すことだ」 「でも、本当に四人なんですか?」 「ああ。そして恐らくだが、その四人の中に、神が依り代としている人間がいるはずだ」  神様はその身一つで顕現するわけではない。基本的には、何かを媒介にしなければこの世には存在できないのです。そして今回はどうやら人間を媒介にして顕現しているというわけです。 「依り代として選ばれた子は大丈夫なんですか?」 「ああ。幸い、今失踪している四人は潜在的に霊感が高い。だから長い期間じゃあなければ悪影響はないだろう」 「逆に言えば、このまま見つからなければ危ういというわけですか」 「まあだからこそこうやって解決策を持ってきたわけだ」  露理さんは小袖の中から何かを取り出す。 「…お守り?」 机に置いたそれは、どう見てもただのお守りですね。私の目で見てもただのなんの変鉄もないお守りにしか見えません。 「神流神社のお守りだ。無病息災、交通安全、家内安全とよく効くお守りだぞ」 「これでなにを?」 「これには副効果があってな、私やお前みたいな存在がこれを身につけて念じると…」  目の前に露理さんがいるのに、まるでそこにいないような感じに存在感がなくなる。 「これは?」 「まあ簡単に言えば存在を希薄にしたんだ」 「神流神社のお守り、こんな代物だったんですね…」 「いや、これは一点ものだ」  露理さんは新しいタバコに火をつけて紫煙を肺に流し込む。 「今回のためにあたしが作った」  つ、作ったとは、さすが露理さんですね。
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