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「それでは、会議を始めましょうか」
神流さんは湯飲みを置くと、いきなりそう言った。
ん? いやしかし露理さんがいないですよね?
「もういますよ」
「え? どこですか?」
部屋を見渡しても露理さんの姿は見当たらない。しかし、神流さんはもうすでに書類を広げ始めている。
頭にクエスチョンマークを浮かべていると、いきなり私の隣から声がかかった。
「相変わらず、お前は感知関係がダメダメだな」
「うぇっ!?」
あまりにも唐突な露理さんの声に私はビックリして横にすっ飛んだ。
声の方を見るといつの間にそこにいたのか私の隣に位置する場所に、タバコを吸って煙を引き出す美女がいた。
「いつ入ってきたんですか?」
姿勢を正しつつ尋ねてみた。
「三分ほど前だな。普通に入ってきて、灰皿をここに持ってきた。ほらみろ、お茶もくんできたぞ」
「ほ、ほんとだ。全く気がつかなかったです」
「だから言ったんだよ。相変わらず感知関係はダメダメだな、てな」
感知関係? と言うことは、気配を消していたということですかね? にしても気配どころか存在すら感じられなかったですよ。
「んじゃ、神流学園生徒失踪事件の、対策会議開始だ」
露理さんはタバコを灰皿に押しつけて、ニヤリと笑う。私は露理さんのその顔に、どうやら今回の事件の解決策を見いだしたのが本当だと感じた。
「了解ですよ」
さあ、お仕事開始です。
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