Ⅰ ~プロローグ~

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僕はベランダに出て夜の春風にあたりながら、口にタバコをくわえる。 そして、火をつける。 紗織が隣に寄ってくる。 「あ~直人、煙草吸うんだったら早く言ってよね~」 紗織はタバコの匂いが嫌いで、一緒にいる時は極力吸わないでといつも言う。 「ごめん、ごめん」 僕は平謝りで許してもらおうとする。 「いつも言うけど、煙草は体に良くないから吸わないでよ」 紗織はベランダのドアを閉めて、ソファーに大人しく座っている。 スー、ファー・・・ タバコの煙を口から吐き出す。 その煙が風に流される。 少し酔った頭がだんだんまともになってきた。 吸い殻を灰皿に入れる 「ん?」 ドアを開けようとしたがあかない。
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